ブレンドやフレーバーティーなど色々な場面で飲まれ、日本でもとても人気のある紅茶「セイロンティー」はスリランカという国で生産されています。
スリランカと言えば北海道よりも面積の小さい島国ですが、セイロンティーはスリランカのどこで栽培されるかでとても味や香りが変わる紅茶だということを知っていますか?
この記事ではセイロンティーの特徴や魅力を紹介したあと、スリランカの生産地ごとに紅茶の味や香りについて解説します。
セイロンティーの特徴と魅力
セイロンティーが生産されるスリランカ(旧名セイロン)は、インドの南側に浮かぶ小さな紅茶大国です。北海道よりも小さい面積でありながら国土の25%を茶園が占めると言われており、世界で生産される紅茶のうち約10%を担っています。
生産される紅茶のほとんどが輸出されるのですが、その小さな国土のどこで生産されるかによって紅茶の特徴が変わるのがセイロンティーの奥の深さです。同じスリランカで生産された紅茶でも場所によって個性に富んだ香りを楽しむことができるため、多くの紅茶ファンがセイロンティーの虜になっています。
スリランカの地形は中央が標高の高い山地になっています。標高の高いところから低いところまで茶園が広がっており、標高の高いところでは島の両サイドからやってくる季節風の影響を受けます。この生育環境の違いが紅茶(セイロンティー)に産地ごとの個性を与えているのです。
スリランカでは標高の高さによって、〜600mの地域を「ローグロウン」、600〜1200mの地域を「ミディアムグロウン」、1200〜2000mの地域を「ハイグロウン」と呼びます。
ここからは「ハイグロウン」から標高の高い順に有名な産地を紹介し、その産地で栽培される紅茶の特徴を解説していきます。
ハイグロウンの紅茶
ウバ
ウバはセイロンティーの中で最も有名で、世界三大紅茶にも数えられるほど人気の高い紅茶です。標高が高いハイグロウン地域では、昼夜の温度差や霧、季節風を受ける影響でとても特徴的な香りを持った紅茶が育ちます。
ウバもとても特徴的な香りを持つ紅茶で、強い渋みとバラやミントに似ているとも表現される独特な香りがあります。飲み方はストレートで独特な香りを活かすような楽しみ方もできれば、渋みが強く濃い紅茶なのでミルクを加えてミルクティーにしても美味しいです。
濃い水色(すいしょく)も魅力の紅茶ですが、渋みが強いうえ香りも好みが分かれるため、上級者向けの紅茶というイメージです。
ヌワラエリア
ヌワラエリアはセイロンティーの中でも最も標高の高い地域で採れる紅茶です。ウバと同様で特徴的な香りがあり、その香りは青りんごに近いとすら言われる爽やかさです。
やはり標高が高い地域で栽培されるため香りだけでなく渋みも強いですが、ウバに比べると水色(すいしょく)は鮮やか、味わいも爽やかです。インドのダージリンも特徴が強く爽やかさのある紅茶ですが、ヌワラエリアとダージリンをブレンドして楽しむのも良いでしょう(どちらも香り・渋みが強いので、キャンディなどのマイルドになる紅茶も一緒にブレンドするのがおすすめです)。
ヌワラエリアは、元々は何もない辺鄙(へんぴ)な土地でしたが、紅茶の生産をきっかけに開発が進んだ地域でもあります。
ミディアムグロウンの紅茶
ディンブラ
ディンブラはミディアムグロウンで生産される紅茶で、セイロンティーの中でも紅茶らしいオーソッドックスな香り・味わいが特徴です。香り・味・渋みのバランスが取れていて、フルーティーな香りもするので非常に飲みやすいです。
クセが少なくて飲みやすいだけでなく水色(すいしょく)も綺麗で、多くの日本人に好まれる紅茶なので初心者の方にもおすすめできます。さらに1年中収穫できて生産量も安定しているので、茶葉のクオリティ・供給量ともに万能なセイロンティーと言えるでしょう。
1〜2月に収穫される季節風の影響を受けたクオリティシーズン(旬)のディンブラは、若々しくフルーティーな香りが強くなります。その香りは、少し無理があるかも知れませんが、ダージリンの特徴を丸くしたような紅茶にも感じられます。
ローグロウンの紅茶
キャンディー
今回はローグロウンで紹介しますが、キャンディーはローグロウンからミディアムグロウンに渡って生産される紅茶です。セイロンで最初に紅茶の生産が始まった地域であり、最も歴史あるセイロンティーなのです。香りと渋みが少なく飲みやすい紅茶で、ブレンドティーやフレーバーティーなどによく使われます。
キャンディー飲みやすいうえ1年中生産されており先ほど紹介した「ディンブラ」と似た特徴も多いですが、ディンブラに比べると香りや渋みがさらに弱く、季節風の影響も少ないためディンブラよりも特徴が弱い紅茶です。キャンディーも初心者の方におすすめの紅茶で、紅茶の渋みが苦手な方はキャンディーから飲んでみると良いでしょう。
ルフナ
ルフナはセイロンティーの中でもローグロウンで生産される典型的な紅茶です。味と水色(すいしょく)がとても濃い紅茶ですが、渋み・苦味はそれほど強いわけではなく、インドのアッサムに近い特徴を持ったセイロンティーです。香りはとても強いわけではありませんが、重厚感のある味わいの中にフルーティーな香りも含まれている独特な風味を持った紅茶と言えます。
日本ではあまり知られていない「ルフナ」ですが、中東地域では好んで飲まれており、その濃厚な色と味わいはミルクティー好きな方にぴったりの紅茶です。
セイロンティーは奥が深い紅茶
この記事ではセイロンティーの魅力や特徴について解説しましたが、うまくその魅力が伝わったでしょうか?
スリランカで生産される紅茶は、ひと口にセイロンティーと言っても幅広い個性を持ち、紅茶ファンには溜まらなく魅力的です。この記事を読んで「セイロンティーっておもしろい紅茶だな」という風に感じてもらえたら嬉しいです。
世界には、日本で有名な紅茶以外にもたくさんの種類の紅茶があります。ぜひ色んな紅茶と出会ってみてください!