世界的に有名な「紅茶大国」を5つ紹介します【前編】

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世界的に有名な「紅茶大国」を5つ紹介します【前編】

紅茶の生産で有名な国を知っていますか?
紅茶と言えばインドやスリランカ(セイロン)が有名ですが、それに次いで中国やケニア、インドネシアも紅茶の生産が盛んです。

この記事では、インド・スリランカ・中国・ケニア・インドネシアの5つの紅茶大国のうち、インドとスリランカでどのような紅茶が生産されているのかを簡単に紹介します。

中国・ケニア・インドネシアの紅茶については、後編の記事『世界的に有名な「紅茶大国」を5つ紹介します【後編】』で紹介します。

インド

インド
インド

紅茶大国「インド」

紅茶で最も有名な国はやっぱりインドです!世界で作られる紅茶のうち約50%をまかなっており、生産される紅茶の種類も豊富です。イギリス人がインドで茶樹を発見したことが紅茶生産の発端とされていて、その後たくさんの茶樹がインドの色んな場所で植えられました。

現在では、ダージリン、アッサム、そしてニルギリの「インド紅茶の三大産地」と呼ばれる地域での紅茶栽培が有名です。同じインドでもそれぞれが全く違う香り・味わいで、輸出に多く使われるもの・国内で多く消費されるもの、ストレートでよく飲まれるもの・ミルクティーでよく飲まれるものなど紅茶の用途もさまざまです。
ダージリン、アッサム、ニルギリについて、それぞれ簡単に触れておきます。

インド紅茶の三大産地

ダージリン

ダージリンは世界で最も人気がある紅茶で、世界の紅茶でも随一の香り高さとフルーティーな味わいが特徴です。ダージリンには年に3回のクオリティーシーズン(旬)があり季節によって香りや味わいが変わるのも特徴で、春摘みのダージリン紅茶を「ファーストフラッシュ」、夏摘みのダージリン紅茶を「セカンドフラッシュ」、秋摘みのダージリン紅茶を「オータムナル」と呼びます。

世界的に人気・有名で日本のカフェや喫茶店でもよく見かける紅茶ですが、実はとても貴重な高級紅茶でインドで生産される紅茶のうちダージリンは約1%程度だと言われています。
生産国のインドではダージリンが飲まれることはほとんどなく、収穫されたダージリンはこだわりの製法で紅茶に製茶されたあと欧米や日本に輸出されます。

この記事でダージリンをさらに詳しく解説しています。
『ダージリンとは?【紅茶の味や香りの特徴も解説します】』

アッサム

アッサムは、ダージリンと並んでインドで重要な役割を担う紅茶です。インド北東部の広大な平野で生産されるアッサムは、インドの紅茶生産の半分以上を占めると言われています(世界の紅茶生産の約25%)。アッサムは、繊細な香りを楽しむダージリンとは異なり、濃い味わいと水色(すいしょく)が特徴なのでミルクティーやチャイにしてよく飲まれます。
インド国内でたくさん飲まれるチャイには、このアッサム紅茶を使っており国内での消費にも国外への輸出にも、また他の紅茶とのブレンドなどにもよく使われます。

アッサム地方は「CTC製法」という新しい紅茶の製法が発祥した場所でもあり、大量生産できる茶葉をより短時間で抽出できる製茶技術を持っています。最近では、CTC製法は世界に広まりつつありますが、最近流行の紅茶の楽しみ方を生み出した場所でもあるのです。

ニルギリ

ニルギリはインド南部で生産される紅茶で、知名度ではダージリンやアッサムには劣りますが、みずみずしく飲みやすい紅茶として知られています。なだらかな高地という紅茶栽培に適した環境で栽培されるため、質・量ともに信頼された紅茶に仕上がることが多く、1年を通して収穫が可能なので安定した供給にも一目置かれています。
香りや味わいは、みずみずしい香りに少し酸味がかったフルーティーさがあるため飲みやすく、クセがほとんどないため他の紅茶とのブレンドや初心者の方にもおすすめできる紅茶です。

ここまでダージリン、アッサム、ニルギリとインドの紅茶について紹介しましたが、もっと詳しく知りたい方は『【インド紅茶】ダージリンとアッサム・ニルギリを徹底比較』を読んでみてください。

スリランカ(セイロン)

スリランカ(セイロン)
スリランカ(セイロン)

インドに次ぐ紅茶大国「セイロン」

スリランカ(セイロン)は、インドに次ぐ紅茶の生産地として知られています。日本の九州を一回り大きくしたほどの小さな島国ですが、その小さな島の中で採れる紅茶「セイロンティー」は驚くほど個性が豊かなことで知られています。
セイロンティーはニルギリと生育環境が似ており全体的に飲みやすいのが特徴で、ブレンドティーのベースにもよく使われます。

セイロンティーの個性

スリランカ(セイロン)では、標高が高いところで採れる紅茶を「ハイグロウン」、標高が中間的な高さのところで採れる紅茶を「ミディアムグロウン」、標高が低いところで採れる紅茶を「ローグロウン」と呼びますが、それぞれのセイロンティーがどんな個性を持っているのか簡単に紹介します。

ハイグロウンの紅茶

スリランカで生産されるハイグロウンの紅茶では「ウバ」や「ヌワラエリア」が有名です。どちらも特徴的な香りと強い渋みが特徴で、山岳地帯で採れる紅茶の特徴をそのまま表現しています。中でも「ウバ」は世界三大紅茶に数えられるほど人気がある紅茶で、キレのある渋みに濃い水色も魅力です。山岳地帯の紅茶では比較的珍しいのですが、ミルクティーにしてもクリームブラウンの綺麗な水色でおいしく飲むことができます。

世界三大紅茶について詳しく知りたい方は、
『【世界三大紅茶】ダージリンとキーマン・ウバを徹底比較』

ミディアムグロウンの紅茶

スリランカで生産されるミディアムグロウンの紅茶では「ディンブラ」が有名です。ディンブラはとてもクセが少なく飲みやすいのが特徴で、香りもフルーティーさやグリニッシュさなど非常にバランスが取れた紅茶です。
ストレートでもおいしく飲めますが、ブレンドなどにもよく使われる紅茶で「ディンブラ」をブレンドに加えることで全体のバランスを整えることができます。
→『自分で紅茶をブレンドする方法0→100【詳しく解説】』

ローグロウンの紅茶

ローグロウンの紅茶は「キャンディ」「ルフナ」が有名です。「キャンディ」は先ほど紹介したディンブラと同じようにクセが非常に少なく、ブレンドによく使われる紅茶です。ディンブラよりもさらに香りを弱くしたイメージでしょうか。「ルフナ」は日当たりの良い平原で育つ紅茶で、濃い水色と甘みを持った味わいが特徴です。少しアッサムに近いような印象でミルクティーにしておいしく飲むことができます。

スリランカ(セイロン)で生産される紅茶を簡単に紹介しましたが、『【紅茶】セイロンティーの魅力と産地ごとの違いを解説』ではセイロンティーについてもっと詳しく解説しています。

ここまでインドとスリランカでどのような紅茶が作られているのかを紹介しました。
残る紅茶大国「中国」「ケニア」「インドネシア」の紅茶栽培は、『世界的に有名な「紅茶大国」を5つ紹介します【後編】』をご覧ください。

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