前回の記事 世界的に有名な「紅茶大国」を5つ紹介します【前編】では、5つの紅茶大国のうちインドとスリランカ(セイロン)を紹介しました。
この記事では続いて「中国」「ケニア」「インドネシア」でどのような紅茶が作られているのかを紹介していきます!
インドやスリランカに比べると紅茶では知名度が低いかも知れませんが、実は紅茶の世界で欠かせない役割を果たしている国たちなのです。
中国
世界一のお茶産地「中国」
中国は世界で最もお茶の生産量が多い国です。紅茶だけの生産量ではインドが断トツのトップで中国の生産量はそれほど多くないのですが、緑茶やウーロン茶などを含めたお茶全体の生産量では中国が世界一です。
中国では世界的に人気の高い貴重な紅茶が生産されるのですが、その紅茶たちは中国ではほとんど飲まれずヨーロッパなどに輸出されてしまいます。中国では紅茶を飲む文化がほとんどなく、緑茶やウーロン茶が多く消費されているのです。
「紅茶の元祖」と「世界三大紅茶」
中国では国外で人気な高級紅茶が2種類あります。
1つは「紅茶の元祖」とも呼ばれ、世界で初めて作られた紅茶と言われる「ラプサンスーチョン(正山小種)」です。十分に発酵させた茶葉に松の燻製香を付けたもので、よく言えばスモーキーな香り、悪く言えば正露丸のような独特の香りを持ちます。生産量が少ししか採れずとても貴重なことから、ヨーロッパでは好んで飲まれる高級紅茶です。
中国で作られる2つ目の人気な紅茶は「キーマン(祁門)」です。キーマン紅茶はインドのダージリンやセイロンのウバと並んで「世界三大紅茶」の1つに数えられる紅茶で、世界的に人気があり、アールグレイのベース茶葉としてもよく使われます。ラプサンスーチョンとは異なる香りですが、キーマン紅茶もスモーキーな香りと表現され、まろやかさと甘みを持った他の紅茶にはない特徴を持っています。ラプサンスーチョンとは違いとても飲みやすい紅茶でもあります。おそらく世界三大紅茶の中で一番飲みやすいのではないでしょうか?
【コラム】こだわりの製法
キーマン紅茶には春頃(3〜4月)に旬があり、ランク分けが厳密に行われることもあって、旬のキーマン紅茶は非常に高級品となります。製法に手が込んでいて慎重かつ丁寧な作業が行われるため、旬に採れたキーマン紅茶が市場に出回るのは夏の終わりごろになってしまいます。これもヨーロッパで人気を集める1つの理由なのです。
ケニア
紅茶の生産国と聞いてケニアを思い浮かべる人はいるでしょうか?
セイロンを超えるケニア
実はケニア、紅茶の生産量がインドに次ぐ第2位。生産量ではセイロンを上回るかなりの紅茶大国なのです。現在ではケニア産の紅茶を専門に取り扱うイギリスの紅茶ブランド「ウィリアムソンティー」もあり、ウィリアムソンティーはケニアをイメージしたゾウ柄のかわいい紅茶缶で有名です。
ケニアで本格的に紅茶栽培が始まったのは20世紀後半となかなか新しいのですが、ちょうどその頃流行り始めた「CTC製法」という大量生産向けの製法を素早く導入できたことが生産量を大きく増加させることに繋がったのです。現在ではスリランカを上回る第2位!赤道付近の日当たりが強い環境で、茶葉が急速に成長するのも生産量を支える要因と言えるでしょう。
ケニア紅茶の特徴
ケニア紅茶には(1)ほとんどがCTCタイプで生産されること、(2)水色は濃いが味わいが爽やか といった特徴があります。
ケニアでは「アッサム種」というお茶の中でも大量生産に向いた茶葉を、「CTC製法」という大量生産に向いた製法で生産しています。CTC製法で作られた紅茶は、短い抽出時間で濃く深みのある味わいを出すことができることが特徴です。特にケニア紅茶は水色(すいしょく)が濃いのですが、味わいは爽やかでそれほど渋みが強くないのが魅力です。
他の産地で採れた紅茶とのブレンドで使われることも多く、スパイスと合わせてパンチを効かせたりするのにも向いています。
もし自分で紅茶をブレンドしてみたい方は、ブレンドの仕方をわかりやすく書いている記事を用意しているので見てみてください。実は簡単です。
→『自分で紅茶をブレンドする方法0→100【詳しく解説】』
インドネシア
安定した生産のインドネシア
インドネシアも紅茶の産地としてはあまり知られていませんが、実は17世紀からお茶の生産は始まっており、インドネシアの紅茶生産にはけっこうな歴史があるのです。南国の年中気温が高い地域であり、山ではなく平野で紅茶を作るので、気候の変化が少なく一年中同じような品質の紅茶を生産することができます。
これは気候の変化によって香り・味が変わってしまう紅茶の世界ではとても貴重なことで、安定した品質を維持できることは紅茶の生産に高い貢献をします。
インドネシア紅茶の特徴
インドネシアはスリランカ(セイロン)に気候が似ており、香りや味わいもどちらかと言うとオーソドックスな紅茶らしい紅茶に仕上がります。セイロンティーやケニア紅茶と同じようにブレンドに使われることが多く、製造方法はBOPとCTCがほとんどです。
そのままインドネシア紅茶を飲むのであればCTCタイプ、自分でブレンドして紅茶を楽しみたいのであればBOPタイプがおすすめです。
世界的に有名な「紅茶大国」最後に
この記事では紅茶の世界で大切な役割を果たす5つの紅茶大国を紹介しました。
たくさん紅茶を消費するヨーロッパに代わって、これらの国々がたくさんの紅茶を生み出しているのです。
インド以外の国にも目を向けることで、紅茶の世界はどんどん奥が深くなっていきます!最後に紅茶をもっと知るのにおすすめの記事を2つ紹介しておきます。
紅茶屋さんでお気に入りの紅茶を見つけたい方におすすめ
→紅茶選びに迷ったらなんて聞けばいい?【紅茶店スタッフが解説】
バリエーション豊かなスリランカの紅茶に詳しくなりたい方におすすめ
→【紅茶】セイロンティーの魅力と産地ごとの違いを解説