紅茶ファンにとって「インド」と言えば、世界で一番多くの紅茶を生産している国です。インドの紅茶と言えば、ダージリンやアッサム、ニルギリが有名です。
この記事では、そんなインド紅茶たちの味や香りの違いを解説します。まずダージリンの特徴を紹介したあと、アッサムやニルギリを紹介しながら、ダージリンと比べてどんな紅茶なのかをお伝えしていきます。
ダージリンの特徴
ダージリンとは(簡単に)
ダージリンは、インドの東北部(ヒマラヤ山脈の麓)で生産される世界的に人気の高い紅茶で、中国のキーマンやセイロンのウバと並び世界三大銘茶の1つにも数えられています。収穫できる量が少なく、非常に貴重な高級紅茶です。
ダージリンの特徴
ダージリンには、他の紅茶では体験できないすばらしい香り高さと程よい渋みがあり、旬によって香りが大きく異なるのも特徴です。ダージリンは春に収穫された春摘みのものを「ファーストフラッシュ」、夏に収穫された夏摘みのものを「セカンドフラッシュ」、秋に収穫された秋摘みのものを「オータムナル」と呼びます。それぞれの紅茶に良さがありますが、夏摘みのセカンドフラッシュはダージリン特有のフルーティーさが際立っていて特に人気があります。
ダージリン セカンドフラッシュ
セカンドフラッシュのダージリンは、そのフルーティーさから「紅茶のシャンパン」などと呼ばれ、マスカットにも似た香りであることから「マスカテルフレーバー」の香りだと表現されることもあります。このあとダージリンをアッサムやニルギリと比較していきますが、このセカンドフラッシュのダージリンを基準に解説していきます。
【コラム】ダージリン ファーストフラッシュの特徴
ファーストフラッシュのダージリンは、他の紅茶に比べて緑茶に近い味わい・香りです。この記事では少ししか取り上げませんが『ダージリンとは?【紅茶の味や香りの特徴も解説します】』で紹介しているので、もっと詳しく知りたい方はご覧ください。オータムナルのダージリンも紹介しています。
セカンドフラッシュのダージリンが持つ特徴を存分に引き出している紅茶を1つ紹介して起きます。
おすすめのダージリン セカンドフラッシュ
ピュアダージリン(ウェッジウッド)
セカンドフラッシュのダージリンは非常に人気があるため、多くの紅茶ブランドが各々こだわりのダージリン商品を販売していますが、「ダージリン セカンドフラッシュ」の特徴を知りたい方にはウェッジウッドのピュアダージリンがおすすめです。セカンドフラッシュの特徴である「キリッとした香り高さ」「他の紅茶では味わえないフルーティーさ」をまさに感じることができます。
アッサムとダージリンを比較
アッサムの特徴
アッサムは、インドで生産される紅茶の中でも最も多くの生産量を誇り、ダージリンと双角を成すくらい世界中で親しまれている紅茶です。インド東北部のアッサム地方は広大な平原になっており、とても日当たりの良い環境でアッサム紅茶が栽培されています。
アッサム紅茶と言えば「ゴールデンチップス」と呼ばれる金色の新芽で有名で、ゴールデンチップスがたくさん含まれる紅茶は品質が高いと言われています。
アッサム地方は紅茶の生産量が多いだけでなく、CTCと呼ばれる紅茶の製法の発祥地でもあります。CTC製法とは、紅茶になる茶葉を潰し、細かく裂いてから丸める製法です。CTC製法で作られた紅茶は、短時間(短い蒸らし時間)で深いコクのある1カップを淹れることができます。
ダージリンとの比較
アッサムは、コクがあって深い味わいが特徴です。ストレートで飲むと他の紅茶に比べて苦味が強く感じられますが、十分なコクと甘みがあるため、ミルクを加えてもしっかりと紅茶の味を楽しむことができます。ダージリンはストレートで飲むのがおすすめな紅茶ですが、アッサムはミルクティーで飲むのに最適な紅茶と言えるでしょう。
紅茶の種類 | 味・香り | おすすめの飲み方 |
ダージリン | 香り高い/フルーティー | ストレート |
アッサム | コクと甘みがある/濃い | ミルクティー |
アッサムは、CTC製法で作られた茶葉が販売されていたり、ブレックファストティーのブレンドに使用されていることが多く、朝出かける前にミルクティーにしてよく飲まれています。
「朝出かける前にはアッサム」「ゆったりしたティータイムにはダージリン」のような感じで飲み分けてみるのはいかがでしょうか?
おすすめのアッサム
ゴールデンアッサム(トワイニング)
特徴がよく出ているアッサムを飲むなら、トワイニングが販売しているゴールデンアッサムがおすすめです。アッサムは濃い味わいが特徴ですが、その濃さが非常に際立っています。苦味を感じるかもしれませんが、それがアッサムの特徴とも言えます。ミルクを加えてミルクティーにして飲むことで、アッサムのしっかりとした味わいを体感することができるでしょう。値段もリーズナブルです。
ニルギリとダージリンを比較
ニルギリの特徴
ニルギリは、インド南部で生産されている紅茶です。ダージリンやアッサムほど有名ではありませんが、ニルギリも人気のある紅茶です。ニルギリ地方は山岳地帯で、収穫時期が年に3回あるなど非常にダージリンと似た環境に思えますが、味わいや香りは大きく異なります。旬は1〜2月の寒い時期です。
ダージリンとの比較
ニルギリ紅茶は、渋みが少なくみずみずしい香りがするのが最大の特徴です。渋みが少なく、ほんのりとフルーティーな酸味があるため(オレンジやレモンの味がするというほどではありませんが)、紅茶を始めたばかりの方や紅茶が苦手な方でも飲みやすい紅茶です。普段から紅茶を飲んでいる方ならスイスイ飲めてしまうでしょう。渋みがあるダージリンに比べて、ニルギリは好き嫌いが分かれにくい紅茶で、フルーティーな酸味もあるためレモンティーにして飲むのもおすすめです。どちらもすっきりした飲みごたえではありますが、同じように高地で摘まれる紅茶にも関わらず、全く違う特性を持っています。
紅茶の種類 | 味・香り | おすすめの飲み方 |
ダージリン | 香り高い/フルーティー | ストレート |
ニルギリ | みずみずしい/クセがない | ストレート/レモンティー |
ニルギリは収穫できる時期が多く、他のインド紅茶に比べると知名度も低いためリーズナブルな値段で手に入れることができます。1〜2月の旬に収穫されたニルギリは、クセのないみずみずしい香りがさらに引き立ち非常に高品質な紅茶に仕上がります。
万人受けしやすい紅茶なので、紅茶をこれから始める方や大勢に紅茶を出すときにとてもおすすめです。
おすすめのニルギリ
ニルギリ(ロイヤルコペンハーゲン)
デンマークを代表する紅茶ブランド「ロイヤルコペンハーゲン」が販売しているニルギリ紅茶です。ニルギリを取り扱っている紅茶ブランドはそれほど多くありませんが、このニルギリは特徴である飲みやすさと同時に「おいしさ」まで感じることができます。