日本では、インドのダージリン紅茶、セイロンのウバ紅茶、中国の祁門紅茶(キーマン紅茶)のことを合わせて「世界三大銘茶(世界三大紅茶)」と呼んでいます。どれも世界的に有名な紅茶ですが、どんな紅茶なのか知っていますか?
この記事では、ダージリンの特徴を簡単に説明したあと、ダージリンと比較しながらウバやキーマンの特徴を解説していきます。
ダージリンの特徴
ダージリンとは
ダージリンはインド東北部の山岳地帯で生産される紅茶です。世界三大紅茶(銘茶)の中でも特に代表的な紅茶でカフェや喫茶店でもよく見られますが、世界的に絶大な人気があるにも関わらず生産量は非常に少ないため、高い値段で取引される紅茶です。
山岳地帯の特徴的な気候がダージリン茶葉に特有の香りや性質を与えており、ダージリンには他の紅茶では出会えないような特徴がたくさんあります。
ダージリンの特徴
様々な特徴を持つダージリンですが、ここではダージリンに際立って見られる2つの大きな特徴を紹介します。
1つ目の大きな特徴は「香り高さ」です。
ダージリンには、他の紅茶では感じられないほどキリッとした香り高さがあり、この香り高さが紅茶ファンに支持される大きな理由と言えます。ダージリンは香りの良さだけでなく渋みも強い紅茶なので、淹れ方によっては渋くて飲みにくいと感じられる場合もありますが、程よい渋みで香りを引き出したダージリンは絶品です。
そして、2つ目の大きな特徴は「旬ごとに異なる香り」です。
ダージリンは1年間に春・夏・秋の3回も旬があり、季節によって異なる香りを楽しむことができます。他の紅茶も季節によって香りは違いますが、ダージリンほどその違いが明確に出る紅茶は珍しく、春摘みのダージリンを「ファーストフラッシュ」、夏摘みのダージリンを「セカンドフラッシュ」、秋摘みのダージリンを「オータムナル」と呼びます。
ダージリンの中で最も人気があるのが夏摘みのダージリン「セカンドフラッシュ」で、他の紅茶では味わえないフルーティーさが特徴です。「紅茶のシャンパン」の愛称を持つセカンドフラッシュのダージリンは、多くの紅茶ブランドが取り扱っており、比較的手に入りやすいため、セカンドフラッシュのダージリンを基準にキーマンやウバとの比較をしていきます。
おすすめのダージリン
ピュアダージリン(ウェッジウッド)
今回、他の紅茶と比較の基準にするセカンドフラッシュのダージリンが持つ特徴が際立っている紅茶です。ウェッジウッドが販売する「ピュアダージリンリーフティー」は、ダージリン特有の香り高さとフルーティーな香りが非常にわかりやすく、セカンドフラッシュのダージリンを試してみたい方にはとてもおすすめです。
ダージリンについて詳しく知りたい方は『ダージリンとは?【紅茶の味や香りの特徴も解説します】』をご覧ください。夏摘みのダージリンについて更に詳しく解説し、春摘みのダージリンや秋摘みのダージリンのことも解説しています。
祁門(キーマン)とダージリンを比較
祁門(キーマン)紅茶の特徴
祁門紅茶は、中国で生産される特徴的な香りを持つ紅茶です。中国と言えばお茶の木の原産地で茶文化の発祥地、緑茶やウーロン茶の生産で世界的に大きなシェアを占めていることなどで有名です。しかし、安徽省で生産される祁門紅茶も世界三大紅茶に数えられるほど人気があり、緑茶・ウーロン茶・紅茶・プーアル茶と多種多様なお茶が生産される一角を担っています。祁門紅茶の旬は8月と言われています。
ダージリンとの比較
祁門紅茶は「火香」と呼ばれる特有のスモーキーな香りが特徴です。ダージリンが香り高くスキッとした飲みごたえで渋みも強いのに対し、祁門紅茶は特徴的な香りがするものの、まろやかな感じで渋みが少なく飲みやすい紅茶です。ほのかに香るスモーキーさが最大の特徴なので、ダージリンと同じくストレートで飲むのがおすすめです。
紅茶の種類 | 味・香り | おすすめの飲み方 |
ダージリン | 香り高い/フルーティー | ストレート |
祁門紅茶 | スモーキー/まろやか | ストレート |
祁門紅茶の旬は8月だとお伝えしましたが、まろやかな味わいでスモーキーな香りが特徴のため、私は冬ごろに飲む紅茶としておすすめです。もちろん夏でもおいしく飲めますが、冬場にホットティーとして飲むのがぴったりな気がします。
祁門紅茶の香りは、蘭の香りに似ているとも言われています。スモーキーな香り・蘭の香りがくっきり鼻腔を通るということは少ないと思いますが、他の世界三大紅茶に比べてとても飲みやすい紅茶です。値段は一般的な紅茶に比べると少し高めですが、ほんのり香る祁門紅茶ならではの香りを楽しむことができるでしょう。
おすすめの祁門紅茶
祁門紅茶(茶茶)
祁門紅茶特有の香りや味わいを感じるのにおすすめの紅茶です。祁門紅茶らしい香りとまろやかな優しい味わいで、飲みやすく豊かな香りを楽しむことができます。
ウバとダージリンを比較
ウバ紅茶の特徴
ウバはセイロン(スリランカ)で栽培される紅茶で、他の世界三大紅茶であるダージリンや祁門紅茶と同じように高級な紅茶です。セイロン(スリランカ)では、標高の低い低地から標高1500メートルにも及ぶ高地まで様々な種類の紅茶が生産されますが、ウバはその中でも特に高地で生産される貴重な紅茶です。
ダージリンとの比較
ウバは深いコクと爽やかな香り、キレのいい渋みが特徴です。ダージリンや祁門と同じように、他の紅茶では体験できないような香りが人気で、深いコクと爽やかな香りを両立しているのがウバの最大の特徴と言えます。ウバも最も特徴を感じやすいストレートで飲むのがおすすめですが、コクがあるためお好みでミルクティーにしてもおいしいでしょう。
紅茶の種類 | 味・香り | おすすめの飲み方 |
ダージリン | 香り高い/フルーティー | ストレート |
ウバ | 爽やか/キレのいい渋み | ストレート/ミルクティー |
どの紅茶が初心者向けか等については意見が別れますが、ウバはコクがあって渋みが強く香りも非常に特徴的なので、私は少し上級者向けの紅茶かなと思っています。
セイロン(スリランカ)で生産される紅茶をセイロンティーと呼びますが、セイロンティーの中にはウバを含め様々な種類の紅茶が存在します。同じセイロンティーでもそれぞれ個性を持った味わいがあるので、違いを楽しむのもおもしろいでしょう。
先ほどウバは上級者向けかな?と言いましたが、セイロンティーなら初心者の方には、マイルドな味わいで渋みが少ないキャンディの紅茶がおすすめです。
おすすめのウバ紅茶
ウバ BOP(ムレスナ)
ウバ紅茶を飲むならセイロンティー専門の紅茶ブランド ムレスナが販売する「ウバBOP」がおすすめです。ウバの特徴が十分に出ているうえ、ミルクティーにしても非常においしいため、ウバの楽しみ方を堪能することができます。
おわりに
世界三大紅茶はどれも貴重な紅茶であり非常に人気があるため、値段も他の紅茶に比べて少し高い傾向にありますが、その紅茶でしか引き出せないそれぞれ独自の香りや味わいを楽しむことができます。どれも紅茶ブランドがこだわりの商品を出していることが多いので、自分にぴったりの紅茶を探してみてください!
世界三大紅茶はどれも渋みがあるため、紅茶を始めたばかりの方には飲みにくく感じるかもしれません。そんなときは祁門紅茶にチャレンジしてみるのが良いでしょう。
世界三大紅茶でなくても、とにかく飲みやすい紅茶から始めたい方には、インドのニルギリやセイロンのキャンディからスタートしてみるのがおすすめです。